花やラッピングの流行を追ってみる
感謝の気持ちや祝福の気持ちを伝えるのに欠かせないお花。花束は贈り物に用いられてきました。贈り物に迷ったときには、どんな方にも受け取ってもらいやすく、また、大切な人には言葉にならない気持ちを伝えることもできますね。
贈り物として花を渡すとき欠かせないのが、その花を包む「ラッピング」です。ラッピングには、社会の流れや時代の美意識に合わせて様々なトレンドが生まれ、変化してきました。
今回は、時代によって変わってきた花とラッピングの流行についてご紹介していきます。流行の裏にある時代背景を知ると、また面白い発見がありますよ。
華やかさ重視の時代
1980年代の日本はバブル経済真っ只中、景気が良く煌びやかな時代。豪華さや華やかさが重視され、お花にもラッピングにも「豪華であること」や「ボリュームがあること」が求められました。
お花では、発色がよく華やかな色の花、一輪でも存在感のある大輪のカサブランカやバラ、カーネーションが人気を集めました。ラッピングも花に負けないようなものが必要とされ、発色の良いビニールやセロファン素材が多く用いられています。光沢のある華やかな色調のリボンを使い豪華に大きくまとめることで、存在感のある花束に仕上げることが流行していました。
ナチュラル志向が高まった時代
2000年代に入ると環境問題やエコ意識の高まりから、花もラッピングも華美なものよりもナチュラルさが好まれるようになりました。エコフレンドリーな素材が積極的に選ばれるようになったことで、それまで主流だったビニールやセロファンといったプラスチック素材のラッピングは、主流ではなくなります。
代わりに、クラフト紙やラフィア、麻紐などの自然素材を用いて、サイズも小ぶりで素朴に作った花束に人気が集まります。花もチューリップやかすみ草など気取らない美しさを表現する物が好まれ、日常使いのカジュアルフラワーが台頭しました。
ミニマリズムと個性の時代
2010年代に入ると、SNSの普及により、花やラッピングに「写真映え」が強く意識されるようになります。お花は色のバリエーションが多いガーベラや紫陽花などの人気が高まり、無駄を省いて花そのものの美しさを際立たせるような、洗練されたデザインが好まれるようになりました。
また、それと同時に、個性を強く押し出すようなユニークな色彩や色の組み合わせの花束も好んで取り入れられるようになります。贈り物としての形は花束だけではなくフラワーボックスやアレンジメントなども人気になり、より見せることを意識したデザインへと変化しました。
2020年代のトレンド
2020年代の今は、装飾性よりも自然体の美しさが重視されていますね。フィールドブーケと呼ばれるカジュアルな野の花を束ねたような花束は、日々の生活に取り入れやすいことから人気が出ています。以前は豪華さを求められた結婚式やギフトのような特別なお花にも、気取らない自然体の美しさを求められるようになりました。
お花の種類で言えば、ポピーやマーガレット、ブルーベルのような自然の草原に咲くイメージのお花が多く用いられています。好まれるお花の色味も、パステルカラーやくすみがかったトーンが人気を集め、フラワーブーケやラッピングにも柔らかい色味が多く取り入れられています。
ラッピングも引き続きナチュラル志向が好まれ、エコフレンドリーな素材を使ってシンプルにまとめられた花束に人気が集まっています。再生紙やリネン、麻紐などの自然素材のリボンが多く用いられ、贈る人も受け取る人も、地球への優しさを感じられるアイテムが選ばれる時代なのですね。
まとめ
花を贈る文化は、長く私たちの生活に根ざしてきました。そして、花やラッピングのトレンドは、時代とともにその価値観を反映してきました。バブル時代の華やかで豪華なデザインから、近年のナチュラルでシンプルな美しさを意識したデザインまで、その時々の社会に合った形で変化することで、思いを伝える役割を果たしてきたのです。
ギフトとして大切な人に贈るお花は、選ぶ側の思いやセンスも反映するものです。トレンドを意識しつつも、贈る人への思いを込めて、好みに合わせたお花を選んでみてはいかがでしょうか。