色彩心理学からみるブランドカラーの秘密

ブランドの第一印象は、色彩がつくる

街で見かけたロゴやお店の看板、パッケージデザインを見て「あ、このブランドだ」と無意識にイメージできていた…そんな経験はありませんか? それって実は、形や文字だけでなく「色」の力が大きいのです。

ブランドカラーには、その企業や商品の“性格”や“世界観”がぎゅっと詰まっています。そして、色彩は文字やロゴを見るよりも一早く、そして深く私たちの心に届くのです。「なんだか好き」「安心する」「憧れる」と感じる気持ちも、実はその色がつくっているのかもしれません。

今回は女性に馴染みのある7つのブランドを例に、「色彩心理学」の視点からブランドカラーのひみつをのぞいてみましょう。

ブランドカラーと心理のつながりって? 7つの例で見てみましょう

▶無印良品:落ち着いたナチュラルカラーに、ほっとする理由

白や生成り、グレーやベージュなど、やさしく静かな色合いが印象的な無印良品。

派手な装飾はなくても、なんだか「安心する」「ちょうどいい」と感じたことはありませんか?

これらのナチュラルカラーは、自然や素朴さを感じさせてくれる色。色彩心理学では、気持ちを落ち着かせたり、自分らしさを引き出してくれたりする効果があるのです。

「無理しない、飾らない、でも心地いい」。そんなライフスタイルをそっと支えてくれるブランドイメージが伝わりますね。

▶UNIQLO:赤いロゴがくれる元気とわかりやすさ

ユニクロのロゴは、ぱっと目に入る赤い四角に白い文字。

なんだか元気になれそうな色使いですよね。

赤には「行動力」「活力」「情熱」などのイメージがあり、私たちの心を刺激してくれる色です。そして白は「誠実さ」や「明快さ」を感じさせる色。

この組み合わせは、「シンプルでわかりやすい」「毎日の生活を明るくしてくれる」ブランドとしてのイメージをしっかり伝えてくれています。

▶IKEA:青と黄色がつくる、安心感とワクワク

青と黄色の組み合わせが印象的なIKEA。お店に入るだけで「なんだか楽しいことが始まりそう!」と感じませんか?

青は「信頼感」「落ち着き」、黄色は「明るさ」「好奇心」「元気」を表す色。

この2色を組み合わせることで、「安心できるけれど、ちょっと遊び心もある」空間を表現しているのですね。

家族で使う家具や雑貨を選ぶ時間そのものも、楽しい思い出にしてほしい。そんなブランドの思いが色にあらわれているようです。

▶コカ・コーラ:赤がもたらす、爽快な気分と親しみ

コカ・コーラといえば、真っ赤な缶やボトルがトレードマークですね。

あの色を見ると、なんだか元気が出て、喉がスカッとする感じがしませんか?

赤は「エネルギー」や「情熱」を象徴する色。さらに、コカ・コーラの赤は歴史的にも「注目を集めるため」に選ばれた戦略的な色だったのです。

私たちの記憶や感覚に残る色として、長年愛され続けているのも納得ですね。

▶Loius Vuitton(ルイ・ヴィトン):ブラウンとベージュが放つ、格調と落ち着き

ルイ・ヴィトンの象徴ともいえる、モノグラム柄のブラウンとベージュの組み合わせ。

とても上品で落ち着いていて、「大人の女性」にぴったりの雰囲気を感じますよね。

ブラウンは「信頼」や「安心感」、ベージュは「柔らかさ」や「上品さ」を感じさせる色。

長く使えるもの、流行に流されないものを求める気持ちにぴったり寄り添ってくれるカラーです。

持つだけで背筋がすっと伸びて自信がつく、そんなブランドイメージを伝えてくれているのかもしれませんね。

▶DIOR(ディオール):グレーの奥にある、洗練と静けさ

ディオールの世界観を象徴するグレー。控えめだけど、どこか品があって惹かれてしまう……そんな色ですね。

グレーは「中立」「知性」「静けさ」を象徴する色。そこに白やネイビーが加わることで、よりいっそう「洗練されたエレガンス」が際立ちます。

自分を主張しすぎず、でもちゃんと芯がある——そんな女性像にぴったりの色づかいです。

▶Tiffany(ティファニー):ブルーが生む、ときめきと憧れ

誰もが一度は憧れる“あのブルーの箱”を見ると、胸がきゅんとするような気持ちになりますよね。

ティファニーブルーは、「幸せ」「純粋さ」「やさしさ」「ときめき」を感じさせる色。実はこの色は商標登録され、ティファニーだけの特別な色なのです。

見るだけで「大切にされている」と感じるような、心に残る色。贈る側も贈られる側も、幸せな気持ちに包まれる。そんな魔法のようなカラーですね。

ブランドの“らしさ”を支えるのは、色かもしれません

ここまでご紹介してきたように、ブランドカラーは単なるデザインではなく、「そのブランドらしさ」を伝える大切な要素なのです。

色は言葉よりも早く、心に届きます。そして「なんだか好き」「安心する」といった感覚が、購買行動やファン心理につながっていくのです。

たとえば赤でも、コカ・コーラの赤とUNIQLOの赤では、受ける印象がまったく違うもの。その違いこそが、ブランドの「個性」なのです。

あなたの好きな“色”から、自分の気持ちを知ってみませんか?

「なんとなくこのブランドが好き」「あの色を選びたくなる」。

そんなふうに感じたことがあれば、それはあなたの“心のサイン”かもしれません。

忙しい毎日の中でも、ふとした瞬間に目に入る色が、あなたの気持ちに寄り添ってくれている。そんなふうに思うと、ちょっと嬉しくなってきますね。

これから街でロゴやパッケージを見かけたとき、「このブランド、どんな気持ちを色で伝えたいんだろう?」と想像してみませんか?

きっと、ブランドとあなたの心をつなぐ「小さな発見」があるはずですよ。