人生100年時代、『好き』が健康をつくる
健康を気遣うあまり、「体を動かさなくちゃ」「食事にも気をつけないと」「また病院の日だな」と、ちょっぴり疲れてしまうことはありませんか?もちろん、運動や食事、睡眠、定期的な検診など、健康のために大切なことはたくさんあります。けれど、人生100年時代と言われる今、ただ長く生きることだけでなく、自分らしく毎日を楽しみながら過ごすことも大切です。そして、「好き」という気持ちは、心を満たすだけでなく、体を動かしたり、頭を使ったり、人とつながるきっかけにもなり、健康を支える可能性があります。
今回は、「好き」が心と体にどのような影響をもたらすのか、科学的な知見を交えながらご紹介します。
「好き」は次の行動を生み出す小さなスイッチ
好きなことをしていると、時間があっという間に過ぎてしまいますよね。友人とおしゃべりをしていたらいつの間にか日が暮れていたり、ガーデニングをしていて「もう少しだけ」と手を動かし続けたり、料理をしながら「今度は少し味を変えてみよう」と次に作るものを考えたり。好きなことには、自然と夢中になり、「次はこれをやってみよう」と思わせる力があります。
その背景にあるのが、脳内の神経伝達物質であるドーパミンです。ドーパミンは、「楽しい」「うれしい」といった経験に対する脳の反応に関係し、その経験をもとに「またやってみたい」という気持ちや次の行動につながる仕組みを支えています。つまり、「好き」という気持ちは、何かを始めたり、続けたりするための小さなきっかけになるのです。
趣味を楽しむ人ほど健康的?研究でわかったこと
2025年に発表された研究では、19か国・50歳以上の79,464人を対象に、趣味と死亡リスクの関係が調べられました。その結果、趣味に取り組んでいる人は、取り組んでいない人に比べて、死亡リスクが29%低いという関連がみられています。また、2022年に発表された研究では、約215万人を対象に余暇活動と認知症の関係が調べられています。その結果、身体的・認知的・社会的な余暇活動をしている方ほど、認知症の発症が少ないという関連がみられました。
こうした研究からも、好きなことや趣味を楽しむ時間が、健康と無関係ではないことがうかがえます。好きなことをきっかけに、体を動かしたり、頭を使ったり、人と話したり、外へ出たりする行動が自然と増えることは、健康を考えるうえで大切なポイントです。「健康のためにやらなければ」と頑張るのではなく、「好きだからやりたい」「楽しいから続けたい」と思えることをもつことが、無理なく続けられる健康づくりのひとつになります。
■余暇活動と認知症の研究 Leisure Activities and the Risk of Dementia: A Systematic Review and Meta-analysis
花を楽しむ時間が心と人をつなぐ
「好きなことが思いつかない」という方には、花を楽しむ時間もおすすめです。花の魅力のひとつは、一人でゆっくり楽しめること。花を選び、どんなふうに飾ろうかと考えながら花器に生ける時間は、見る・香る・触れるといった五感を使い、自分の好みや感性も自由に表現できます。「この色が好き」「この花と組み合わせてみよう」「ここに飾ったらきれいかも」と、花と向き合うことで、日常の忙しさから少し離れ、心を穏やかにするひとときにもなるでしょう。
そして、花は誰かと一緒に楽しめるのも魅力です。ワークショップや花の教室に参加すれば、花を囲んで自然と会話が生まれ、初対面の人とも気軽に言葉を交わせます。一人で花と向き合う時間も、誰かと花を囲む時間も、どちらも日々の暮らしに小さな彩りを添えてくれます。花をきっかけに自分の心を見つめたり、新しい人との出会いを楽しんだりすることも、毎日を楽しむ方法のひとつです。
まとめ
健康のために、運動やバランスの良い食事、良質な睡眠、定期的な健康チェックなどを意識することはもちろん大切です。でも、「健康のために」と頑張ってばかりでは、疲れてしまうこともありますよね。だからこそ、これからの人生には「しなくてはいけないこと」だけでなく、「好き」を楽しむ時間も大切にしてみませんか?
好きなことは、何か特別なことでなくても大丈夫。花を眺めたり、季節の料理を味わったり、友人とのおしゃべりを楽しんだり、身近なところにも「好き」は見つけられます。そんな毎日の小さな「好き」の積み重ねが、これからの人生をもっと健やかに、もっと自分らしく楽しむきっかけになるかもしれません。




