子どもたちの未来に必要な能力

【目次】

・これからの社会で必要な力とは?

・芸術的能力とは?

・芸術的能力を伸ばす『花育』

 

これからの社会で必要な力とは?

今の子どもたちは生まれた時から、パソコンやスマホがある「デジタルネイティブ」世代。

 

検索すれば何でも情報が手に入ることで、豊富な知識を得られるようになったものの、

その一部の情報を鵜呑みにし、偏った考え方を身に付けてしまうという弊害も起きています。

 

また、「自分で考えてみる」「自分で推察してみる」というプロセスを飛ばし、

すぐに答えが得られてしまう日常で、「考える力」「創作する力」「イメージする力」が

乏しくなっているという指摘もあります。

 

今回は、このようなデジタル社会に育つ子どもたちに必要な能力について考察します。

 

これまで、私たちは、「計算や記憶が正確であること」が重視され、評価されてきました。

いわゆる「読み・書き・ソロバン」というものです。

 

しかし、それらは全て、人間の頭脳よりも、コンピューターの方が格段に早くて正確です。

故に、コンピューターができることを、人間が追いつこうと頑張っても、

それはあまり意味をなさないと考えます。

 

なぜなら、計算が速くできる、情報をたくさん蓄えておける、といったことは

コンピューターがやってくれるからです。

 

では、私たち大人も含め、これから子どもたちはどのような能力を身に付けていくと良いのでしょうか。

 

子どもたちが、デジタル化、グローバル化した世界で、豊かに生きていくためには、

『芸術的能力』が必要だと考えます。

芸術的能力とは?

芸術と聞くと、センスが必要だと思いがちですが、ここでいう芸術的能力とは、

 

「この部屋は心地いいなぁ」

「この色は重たい感じがするなぁ」

という『感性』だったり、

 

「この色を使ったらもっと明るくなるかも!」

「この角を削って丸くしたらやわらかい感じになるよね」

という『判断』のことを指します。

ゲームやバーチャルな世界でも、芸術能力を伸ばすことは可能ですが、

実際にものに触れて、香りや空気感を感じる中で、芸術的能力を伸ばしていくことが求められます。

 

芸術的能力を伸ばす『花育』

アートセラピーを取り入れた『花育』では、本物の生きた花、『生花』を取り扱います。

花のみずみずしさ、花びら、茎、葉っぱの感触、香りなど、生花に触れることで五感が研ぎ澄まされていきます。

また、芸術的能力を伸ばす際に、とても大事なことがあります。

 

それは周りからのジャッジです。

 

例えば、

「この花をここに挿したらどうかな」「ここに赤色を加えるとどうかな」という子どもの能力に対し、

周りの人が、「それはよくないわよ」「こっちの花の方がいいんじゃない?」と言ってしまうと、子どもたちは、良い評価をもらうために活動してしまいます。

 

このため、花育インストラクターは、お子さんが作品を作っていく際、「上手だね」とか「ここはこうした方が素敵よ」といった声がけはしません。

あくまで、お子さんの『こうしたい』『私はこれが好き』『僕のこだわりはここ!』という想いを受け取り、寄り添っていきます。

すると、最初は「うまく作れるかなぁ」と不安な表情を見せていた子が、「この場所は自由に表現していいんだ」と心がオープンになり、五感をフルに活用して、表現できるようになっていく姿が見られます。

 

子どもたちは、「体験」を通して芸術的能力を伸ばしていきます。物事を理解していく時、自分の体験した世界から考えます。

例えば、「薔薇(いばら)の道を歩いているようだった」という表現を読んでも、

薔薇の茎にトゲがついていて、トゲに触れた経験がなければ、それが一体どんな感覚なのか想像できません。

 

このように、芸術的能力を伸ばせるような経験を増やしていくことで、豊かな心、しなやかな心が育っていきます。

五感で味わう

 

監修・芙和せら(フラワーセラピー創始者)