箱庭療法キットって意外と大きい!その理由は?
皆さんは”箱庭療法”という言葉を耳にしたことがありますか?テレビやSNSで見かけて「なんだか面白そう」と思った方もいれば、初めて聞いたという方もいらっしゃるかもしれませんね。箱庭療法は砂の入った箱とミニチュアを使って、自分だけの世界をつくる心理療法です。使用する箱には規定があり、初めて目にした方からは「思っていたより大きい!」と驚きの声があがることもしばしば。では、なぜ箱庭療法のキットは大きめに作られているのでしょうか。今回は、その理由を一緒に紐解いてみましょう。
箱庭療法キットとは?
箱庭療法で使うキットは、砂の入った木箱と人や動物、建物、植物など、いろいろなミニチュアでできています。木箱の内側は青色に塗られていて、”空”や”水”を表現できるのも特徴です。砂を盛ったりならしたりして山や谷、川や海を作ったり、ミニチュアを自由に並べて木箱の中に自分だけの小さな世界を作り上げます。心理療法と聞くと少し身構えてしまうかもしれませんが、子どもはもちろん、おとなも童心に返ってのんびり楽しめるのが箱庭療法の魅力なんですよ。
箱庭療法に使われる”箱”のサイズ
箱庭療法で使う箱のサイズは、おおよそ幅72㎝×奥行57㎝×高さ7cmです。このサイズは、箱庭療法の創始者Dora Kalff(ドラ・カルフ)が定めたもので、現在も国際的に標準とされています。幅72㎝というと、駅の広告や映画のポスターなどに使われるB1サイズ(728㎜×1,030㎜)の横幅とほぼ同じ大きさ。ちょっとした箱をイメージしていると、意外なサイズ感に驚く方も多いのではないでしょうか。
なぜ箱庭療法キットは大きいのか?
Dora Kalffは箱庭を単なる砂遊びではなく、心を映し出す場と考えてサイズを規定しました。72㎝×57㎝×7cmという枠組みにした理由は、大きく分けて4つあります。
ひとつの世界として一目で把握できる
箱庭は、全体を一目で見渡せる大きさに作られています。小さすぎると「狭くて思うように表現できない」と感じやすく、逆に大きすぎると全体が見えにくくなりますよね。限られたちょうど良い空間だからこそ、心の中にある気持ちや想いを丸ごと映し出すことができ、自分自身の理解も少しずつ深まるのです。
子どもから大人まで自由に取り組める
箱庭は、子どもでも両手を広げれば十分に取り組める範囲でありながら、大人にとっても世界観を表現できる余裕のある大きさです。7cmという深さも、砂を動かして山や谷、海や川などを表現するのにピッタリ。子どもから大人まで誰にとってもちょうどよく、心の中の世界をそのまま映し出せるサイズ感なのです。
砂の感覚を存分に味わい「退行」を促進する
皆さんは子どものころ、砂遊びをしたことを覚えていますか?手のひらに砂をすくい、指の間からサラサラと落ちていく感覚。大人になっても、不思議と心が落ち着いたりワクワクしたりするものですよね。箱庭療法では、砂に触れることで「退行」の促進を意図しています。退行とは、大人であっても自然に素直な気持ちを表現していた子ども心に戻ること。箱が十分に大きいからこそ、両手で砂の感覚をじっくり味わえます。
セラピストと一緒に分かち合える
箱庭の大きさは、クライアントとセラピストが一緒に見やすいのも特徴です。無理に言葉で説明しなくても、作品を眺めながら自然に気持ちや想いを分かち合えます。「ここにはこんな気持ちがあったのかな」と自分で考えたり、セラピストと話して気づきをもらったりすることで、心の整理がしやすくなります。
まとめ
箱庭療法キットは、言葉にできない気持ちや想いを自然に映し出す特別な道具です。意外と大きく感じるサイズには、「一目で全体を把握できる」「子どもから大人まで自由に取り組める」「砂の感覚を存分に味わえる」「セラピストと一緒に分かち合える」といった理由が込められています。箱庭の中に広がるのは、自分だけの唯一無二の世界。もし目の前に砂の入った大きな箱が置かれたら、皆さんはどんな世界を作ってみたいですか?