植物がもつ、スゴイ殺菌、抗菌効果

年を重ねると、ちょっとした風邪でもなかなか治らず、思いがけず重症化してしまうことがあります。体力の低下に加え、体を守ってくれる「免疫の働き」が少しずつ弱くなっていくためです。「高齢になってもできるだけ元気で過ごすには、どんなことを心がければいいの?」そんなふうに感じている方も多いのではないでしょうか。

手洗いや睡眠、バランスの良い食事が大切なのはもちろんですが、ぜひ思い出してほしいのが、昔から人の暮らしを支えてきた植物の力です。実は、植物は自分自身を菌やカビから守るために、殺菌・抗菌の働きをもつ成分を生み出しています。

今回は、植物がもつ殺菌・抗菌効果について、科学的な研究をもとに、わかりやすく紹介します。

植物が病気やカビから身を守る仕組み

植物は動くことができません。そのため、病気や病気やカビ、細菌などの外敵から身を守るために、さまざまな工夫を重ねてきました。そのひとつが、植物自身が作り出す殺菌・抗菌作用をもつ成分です。植物がもつ代表的な殺菌・抗菌の仕組みについてご説明します。

フィトンチッド(植物の揮発性成分)

植物は、傷ついたり刺激を受けたりすると、自分を守るための成分を出します。それが「フィトンチッド(Phytoncides)」と呼ばれる成分です。フィトンチッドには、微生物の増殖を抑える働きがあり、植物自身を病気やカビから守る役割を担っています。森林の空気中にも含まれており、植物が健やかに育つ環境を目に見えないところで支えている存在です。

研究では、こうした森林環境に触れることで、人の免疫機能やストレス状態に良い影響を与える可能性が報告されています。森林浴で「風邪をひきにくくなる」と言われる背景には、こうした植物の力が関係していると考えられています。

ポリフェノール・フラボノイド(植物に含まれる成分)

ポリフェノールは、植物が紫外線や微生物などの外敵刺激から身を守るために作り出す成分です。色や苦味のもとになることも多く、緑茶やコーヒー、赤ワイン、ベリー類など、私たちの身近な食品に多く含まれています。植物にとっては外敵から身を守るための工夫であり、私たちにとっては日々の食事を通して無理なく取り入れられるありがたい存在です。ポリフェノールには抗菌作用に加え、体の酸化を抑える働きがあることでも知られています。

香り

私たちが「いい香り」と感じる植物の香りも、植物が自分を守るために作り出している成分のひとつです。花や葉、果皮、樹皮などから香りを放つことで、菌の増殖を抑えたり、虫を遠ざけたりしてきました。私たちは、植物そのものだけでなく、エッセンシャルオイル(精油)という形を通してもこうした香りに触れています。

植物にとっては生き抜くための大切な手段であり、私たちにとっては気分転換やリラックスをもたらし、心身や暮らしを整えてくれる存在です。

私たちの暮らしを支える植物の知恵

日本では昔から、植物の性質を暮らしの中に取り入れ、衣類や食べ物を守る知恵が育まれてきました。収納家具に防虫・防腐の働きをもつ桐やヒノキ、楠を使ったり、お弁当に梅干しや紫蘇、漬物を添えたりと、特別な薬や道具が無くても、身近な植物の力を活かしてきたものです。現代では科学の進歩によって多くの製品が生まれましたが、植物のもつやさしい力は、今も変わらず私たちの暮らしに寄り添っています。

植物の力を暮らしに取り入れる方法

植物の力は、特別なことをしなくても、日々の暮らしの中で無理なく取り入れられます。

食事

緑茶や野菜、果物に含まれるポリフェノールやフラボノイドは、抗酸化作用をもち、体内で増えすぎた活性酸素を抑える働きがあることが知られています。活性酸素は、過剰になると免疫の低下や体の不調と関係することが指摘されており、日々の食事でバランスを整えることが大切です。

特別な食品に頼らなくても、旬の野菜や果物、緑茶など、昔ながらの和食を意識するだけで十分。植物の力を無理なく食卓に取り入れることが、風邪や感染症に負けにくい体づくりを支えてくれます。

香り

ヒノキやラベンダー、柑橘類などの香りには、気持ちを落ち着かせ、ストレスを和らげる働きがあることが知られています。こうした香りに触れることで、自律神経のバランスが整いやすくなり、心身がリラックスした状態へと導かれると考えられています。香りそのものが病気を治すわけではありませんが、心と体を穏やかに保つことは、体調を崩しにくい状態を支える大切な要素のひとつ。

エッセンシャルオイルで部屋に香りを広げたり、木製品の自然な香りを楽しんだりと、体調や好みに合わせて心地よい香りを取り入れてみましょう。

植物との関わり

観葉植物や鉢植え、木製品を身近に置くことで、植物が放つ微量な揮発成分や香りに自然と触れることができます。また、木・竹・和紙などの植物由来の素材には、調湿性や抗菌性をもつものが多く、湿気やにおいをやさしく調整してくれるのも魅力です。暮らしの中に自然素材を少し取り入れるだけで、空気の感じ方が変わり、心身を整える環境づくりに役立ちます。

まとめ

植物は、菌やカビ、外の刺激から身を守る力を備えています。フィトンチッドやポリフェノール、香り成分などは、植物が生き抜くための知恵であり、同時に私たちの暮らしにもそっと寄り添ってくれる存在です。

もちろん、植物の力だけで病気を防げるわけではありません。手洗いや睡眠、バランスのよい食事、必要に応じた医療は、これからも大切です。そのうえで、食事に季節の野菜やお茶を取り入れたり、木や花の香りに触れたりと、日々の暮らしのなかで植物の力を味方につけることは、心と体を整えるやさしい助けになります。

自然とともに生きるなかで育まれてきた知恵は、年を重ねた今だからこそ、改めて大切にしたいもの。植物のもつ力を、できるところから少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。