フラワーアレンジで指先の衰えを予防する

「ペットボトルの蓋や瓶の蓋が開けづらい」「財布から小銭を取り出しにくい」「ボタンやファスナーの開閉に時間がかかるようになった」など、日常でふと、指先の衰えを感じたことはありませんか?手先の動きは、食事や着替え、料理、趣味など、毎日の暮らしのあらゆる場面に関わっています。今まで当たり前にできていたことが少しずつやりづらくなると、不安になりますよね。

とはいえ、「ちょっとした事だし、リハビリに通うほどでもない」そんな方に予防策としてお勧めしたいのが、フラワーアレンジです。意外に思われるかもしれませんが、「いつまでも自分の手で好きなことを楽しみたい」そんな思いに寄り添ってくれます。今回は、指先の衰え予防にもつながるフラワーアレンジの魅力についてお伝えいたします。

花を「切る・挿す・整える」動きは自然な指先トレーニング

フラワーアレンジでは、「茎をハサミで切る」「花をオアシスに挿す」「向きや高さを調整する」「全体のバランスを整える」といった細かな動作を行います。これらの動きは、リハビリ分野でいう「巧緻動作訓練」に近く、指先の細かな動きを自然と使う活動です。

また、フラワーアレンジの魅力は、「頑張らなければ」と構える必要がないこと。花を楽しみながら取り組めるため、無理なく続けやすいのも特徴です。「真っ直ぐ挿してみよう」「少し短く切った方がバランスがいいかな」「この花はここに置いてみよう」などと考えながら手を動かすことで、指先だけでなく集中力や空間認識力も自然と使われていきます。単純な指の体操とは異なり、楽しみながら脳と体を一緒に使える点が、フラワーアレンジならではの醍醐味です。

花に触れる時間が脳と指先をやさしく刺激

高齢になると外出の機会が減ったり、毎日の生活が単調になり、心や脳への刺激が少なくなりがちです。その結果、気持ちが沈みやすくなったり、体を動かす機会が減るなど、心身機能の低下につながると言われています。そんなときに取り入れたいのが、五感をやさしく刺激してくれる花の力です。色とりどりの花を見ると気持ちが明るくなったり、やさしい香りに昔の記憶がふっと蘇ったり、花びらや葉に触れて心地よさを感じたりといった経験をされた方も多いのではないでしょうか。

花は視覚や嗅覚、触覚などを自然に刺激し、脳や心に心地よい刺激を与えてくれます。日本最大の農業研究機関である農研機構でも、園芸活動や植物とのふれあいが、心身によい影響をもたらす可能性について紹介されています。また、花に触れながら自然と手を動かす時間は、指先を使う機会の減少予防にもつながりますよ。

農研機構|花が人に与える効果の検証と利用法 

(研究成果) 花の観賞は心身のストレスを緩和する | プレスリリース・広報 

「できる」を増やしながら指先を自然に使う時間

高齢になると体力が落ちたり、家族に頼る場面が増え、「できないこと」に目が向きやすくなります。だからこそ、「自分でできた」という感覚はとても大切です。フラワーアレンジには、花を選び、自分の手で自由に形にしていく楽しさがあります。細かいルールや正解がないため、「上手に作らなきゃ」と気負わずに自分の感性のまま楽しめるのも魅力です。完成した作品を見たとき、「きれいにできた」「まだこんなことができるんだ」と感じることが、自信や前向きな気持ちにつながっていきます。

また、作品を飾ったり、家族や友人にプレゼントしたりすることで、喜んでもらえたという嬉しさや誰かの役に立てたという実感が生まれるのもポイント。年齢を重ねると、支えてもらう側と感じてしまうこともありますが、誰かを笑顔にできる経験は、自分らしさを思い出させてくれます。そして、「楽しいから続けたい」と思えることが、結果として指先を使い続ける習慣にもつながっていきます。

「自分でできる」を支える家族の関わり方

親や祖父母の手先が不自由そうだったり、動きがゆっくりになったりすると、「大変そうだから手伝おう」「代わりにやってあげよう」と思うことがありますよね。支えることはとても大切で素敵なことですが、なんでも先回りしてしまうと、自分で手を動かす機会が少しずつ減ってしまいます。手や指は、使う機会が減るほど衰えやすいと言われているため、「できることまで奪わない」ことも大切な関わり方のひとつです。

フラワーアレンジのように、楽しみながら自然と指先を使う時間をプレゼントするのもおすすめ。「できる力」をやさしく引き出しながら、「この色きれいだね」「昔からこの花好きだったね」といった会話も生まれていきます。気づけば手伝う・手伝われる関係ではなく、一緒に楽しむ時間へと変わっていくきっかけにもなっていきますよ。

まとめ

フラワーアレンジは、指先を動かすことで衰えの予防につながるだけでなく、心や脳にもやさしく働きかけてくれる時間になります。「できていたことが少しずつ難しくなってきた」そんな変化に気づいたとき、どうしても不安や寂しさを感じるのは自然なことです。だからこそ、無理に頑張るのではなく、花に触れる時間を楽しみながら、自然と指先を動かす習慣が「まだできる」という感覚をそっと支えてくれます。

ご家族も支えようと頑張りすぎるのではなく、一緒に花を眺めたり、手を動かしたりする時間を楽しむことで、心の距離が少しずつ近づき、穏やかな関係を育むことにもつながります。指先はもちろん、心と体を健やかに保ちながら歳を重ねていくためにも、日常の中に花とふれあうやさしい時間を取り入れてみてはいかがでしょうか。