お花好きさん、花日記をつけてみませんか?

花を飾ることや育てることが好きな方の中には、その時々に出会った花の記録を残しておきたいと思ったことがある方も多いのではないでしょうか。そんな「花日記」は、単なる花の記録というだけではなく、感じたことを書き留めることで、自分自身を見つめ直し、心を整えるきっかけになる習慣です。心理学的にも感情を言葉にして整理することは気持ちを落ち着かせる効果が期待されています。

特別なルールは必要ありません。その日に見た花や飾った花の名前、その花について感じたことを記録するだけです。難しく考える必要はありません。写真やスケッチを添えるなど、自分らしい楽しみ方もできます。

今回の記事では、花日記がもたらしてくれる心理学的なメリットと、楽しみ方のコツをご紹介していきます。

記録することで感情を整理する

花を見て感じたことを記録しようとすると、その時自分が何を感じているのかを言葉にすることが必要になります。わたしたちは日々さまざまな出来事を経験し、多くの感情を抱いていますが、それをはっきりと意識する機会は意外と少ないものです。

まずは簡単な一言で構いません。その時の感情を言葉にしてみましょう。

  • ひまわりの花を見て元気をもらった
  • 青いアジサイの花を飾って心が穏やかになった
  • 百合の花をもらって、良い香りに癒された

このように、どんな花なのか、に加えてどんなふうに感じたかを書いてみるのがおすすめです。心理学ではこのように感情を言葉にすることを「感情のラベリング」と呼びます。感情を言語化すると気持ちが整理され、その結果、漠然とした不安やストレスが和らぎやすくなることが知られています。

花日記をつけることで、自分の心と静かに向き合い、自分でも気づかなかった心の状態に気づけることがあるのです。

花が心を映す鏡になる

わたしたちは、その時々の心理状態に影響されて、無意識のうちに惹かれる花や色が変わることがあります。花日記をつけることによって、そんな気づかなかった傾向が見えてくるのです。

たとえば、元気なときには鮮やかな赤やオレンジ色、疲れているときには淡いピンクや白、グリーンなどに惹かれることがあります。また、忙しいときには青い花を、気持ちが落ち込んでいるときには大ぶりな花よりも小さな花を選びがちになるなど、その時の心の状態が反映されていることがあります。

つまり、花日記は花の記録であるのと同時に、自分の心を客観視できるようになる、心の記録であるのです。

今の瞬間に目を向ける

忙しい毎日を送っていると、こなさなければならない仕事のことや家庭のことなどで頭の中がいっぱいになることがあります。しかしそんな時でも花日記を始めると、道端や公園に咲く小さな花に目を向けるようになったり、立ち寄ったお店にさりげなく飾られた花の美しさに惹かれたりして、花を眺める時間が自然と生まれます。目の前の花だけに集中して観察する時間は、「今、この瞬間」に意識を向ける瞑想法であるマインドフルネスにつながり、心を穏やかに整えてくれるのです。

わたしたちが幸せを感じるのは、特別な出来事だけではなく「今日見た花が綺麗だった」「つぼみがほころんだ」といった、日常の小さな出来事の中にもあります。身近な幸せに意識を向けることは、幸福感を高めることにつながると考えられており、そんな小さな喜びを丁寧に味わうことを、心理学では「セイバリング」と呼びます。

花日記は、花を眺める穏やかな時間を通して、そんな小さな幸せに気づく力を育ててくれる習慣なのです。

花日記を楽しむコツ

普通の日記でも、意気込んで始めても三日坊主で終わってしまった経験のある方は多いのではないでしょうか。花日記も、頑張って長文を書こうとするほどハードルが上がって長く続けられなくなってしまうことがあります。長文を書く必要はありませんし、完成度の高い文章に仕上げる必要もありません。一行だけでもいいのです。

  • 今日の花
  • 感じたこと
  • 今の自分の状態

というように、書く項目を決めておいて、それだけ書けば十分と考えましょう。文章が思いつかなかったり、書く余裕がなければ写真やイラストで終わらせても構いません。書ける日に書けばいい、そんな気軽な気持ちでいることが花日記を楽しむコツです。

一日のうちで、いつ書くのかを毎日の習慣と組み合わせて決めておくのもおすすめです。

花日記は、誰に見せるのでもなく自分だけの記録ですから、自由に書いて楽しみましょう。

まとめ

花日記は、花を記録する日記であるのと同時に、その日の自分の心を映し出す日記でもあります。同じ花を見ても、華やかだと感じる日もあれば、優しく穏やかだと感じる日もあります。それは花が変わったのではなく、その日の自分の心が花に映し出されているからかもしれません。忙しい日々に追われていると、自分の気持ちを後回しにしてしまいがちですが、ほんの数分でも花に目を向けることで、自分の心に気づくことができ、小さな幸せを見つける力もはぐくまれていくでしょう。

花日記は上手に書くことが目的ではありません。書くことで自分の心をいたわり、向き合い、小さな幸せに気づくための習慣です。お気に入りのノートを一冊用意して、今日出会った一輪の花について書くことから始めてみませんか。毎日続けることで、花の記録だけではなく、その時々の自分自身の心の歩みが刻まれていくはずです。