ランドセルの色の流行りすたりは時代の心理を映す
ランドセルの色には時代の価値観が表れる
ランドセルは、子どもたちが6年間使う特別なアイテムですよね。最近ではランドセルの色も豊富になり、定番だった「男の子は黒、女の子は赤」という概念は大きく変わりました。今では、水色やラベンダー、キャメル、くすみカラーなど、さまざまな色が選ばれています。
ランドセルの色の移り変わりは単なる流行ではなく、社会の価値観や時代の心理を映すものといえます。「なぜ色の選び方が変わったのか?」「その背景にはどんな心理があるのか?」時代ごとの変化と理由をご紹介します。
時代ごとに変化したランドセルの色とその背景
昭和~平成初期:「黒と赤」が当たり前だった時代
昭和から平成の初期にかけて、ランドセルの色といえば「男の子は黒、女の子は赤」が定番でしたね。これは、当時の社会が「男の子らしさ」「女の子らしさ」を重視していたことが大きな理由です。
また、黒と赤は汚れが目立ちにくく、耐久性のある色でもあります。6年間使うものだからこそ、親は「無難で安心な色を選びたい」と考えていたのでしょう。
平成中期~後期:カラフルなランドセルが登場
2000年代に入ると、ピンクや水色、ブラウンなど、さまざまなカラーのランドセルが登場しました。この変化の背景には、少子化によるランドセル市場の競争激化があります。メーカーが他社との差別化を図るために、カラーバリエーションを増やしたのです。
さらに、親世代が「自分の子どもには個性を大切にしてほしい」と考えるようになったことも影響しています。子ども自身が好きな色を選べる時代になり、「みんなと同じ」ではなく「自分らしいランドセルを選ぶ」文化が広がっていきました。
令和:個性と多様性を尊重する時代へ
令和に入ると、ランドセルの色のトレンドはさらに広がり、くすみカラー(グレージュ、ラベンダー、ミントグリーンなど)や、ネイビー・グレーなどのシックな色も人気になっています。
この背景には、ジェンダーレスの考え方の浸透があります。「男の子だから黒」「女の子だから赤」という固定観念が弱まり、性別を問わず好きな色を選ぶ事が極一般的になりました。また、SNSの影響で「おしゃれなランドセルが欲しい」と思う家庭も多くなり、ファッションアイテムの一つとして選ばれることも増えました。
ランドセルの色と社会心理の関係
ランドセルの色の流行は、時代ごとの価値観を反映しています。では、具体的にどんな社会の心理が関係しているのでしょうか?
① 男女平等・ジェンダーレス意識の高まり
近年、ジェンダーレスの考え方が広まり、「男の子らしさ」「女の子らしさ」ではなく、「個人としての好み」を大切にする時代になってきました。そのため、ランドセルも性別にとらわれず、好きな色が選ばれるようになっていますね。
男の子が水色を選んだり、女の子がネイビーを選ぶことも珍しくなくなり、「自分らしさ」を尊重する流れが強まっています。
② SNS・メディアの影響で「おしゃれ」が重視される
SNSの普及により、ランドセル選びにも「トレンド」が生まれました。特に、InstagramやYouTubeでは、おしゃれなランドセルを紹介する投稿が増え、「かわいい」「かっこいい」ランドセルが注目されるようになっています。
そのため、親子で「デザインや色を慎重に選びたい」と考える家庭が増え、ランドセル選びはよりファッション要素の強いものになっています。
③ 「個性を出したい派」と「流行に乗りたい派」
ランドセルを選ぶとき、「みんなと同じが安心」と考える人もいれば、「個性を出したい」と考える人もいますね。
近年は、「個性を大切にする」という価値観が強まっていますが、一方で「周りとあまりにも違うと浮いてしまうかも」と不安になる親もいます。そのため、「くすみカラー」や「シックな色」のように、個性を出しつつも周囲に馴染みやすい絶妙なカラーが人気になっています。
ランドセルの色の未来とこれからの価値観
ランドセルの色の流行は、社会の価値観の変化を映し出すものです。「無難な色」から「個性を大切にする色」へと変化してきたことが、時代の心理をよく表していますね。
では、これからランドセルのトレンドはどう変わっていくと思いますか?
完全オーダーメイドやカスタマイズが主流に?
子どもの個性を大切にする流れが続けば、色だけでなく形やデザインを自由にカスタマイズできるランドセルが増えるかもしれませんね。
環境に配慮したサステナブルなランドセルの普及
SDGsの意識が高まり、リサイクル素材や動物に優しい素材を使ったランドセルが一般的になる事もあるかもしれません。
より軽量で機能的なランドセルへ進化
今後は、デザインだけでなく「軽くて使いやすい」ランドセルが主流になっていくかもしれません。
これからも、ランドセルの色やデザインは時代とともに変化していくでしょう。