花✕心理学が心身の健康によい理由

忙しい毎日の中で、ふと花を見て気持ちが和らいだ経験のある方は多いのではないでしょうか。疲れて帰宅した日には花屋の店先で思わず足を止め、部屋に花を飾りたいと感じることもあるでしょう。

花を見ると心が落ち着くのは、多くの人が自然に抱く感覚です。それは実は単なる気分や思い込みではなく、花は実際にわたしたちの心と身体にさまざまな影響を与えていることが心理学や生理学の研究からわかっています。

また、花はわたしたちに「癒し」を与えてくれるだけではなく、自分自身でも気づいていない心の状態を映し出していることがあります。どんな花に惹かれるのか、どんな色を選びたくなるのか、その選択には今の心理状態が関わっているのです。

この記事では花がわたしたちの心身の健康に良い理由について、心理学の視点からご紹介していきます。

花を見て心が落ち着く理由

花を見て心が落ち着く理由のひとつに、自律神経の働きが関わっています。自律神経とは、呼吸や体温、心拍、消化などを無意識にコントロールしている神経のことで「交感神経」と「副交感神経」の2種類があります。

交感神経は、わたしたちが仕事や勉強、運動をしている時、またストレスを感じている時などに活発になり、心拍数を上げ、体を頑張ろうとするモードにします。一方、副交感神経はリラックスしている時や眠る前などに働き、呼吸や心拍を落ち着かせて体を回復へ導きます。

現代を生きるわたしたちは、仕事や人間関係、そして日々膨大な情報に触れることから、交感神経が優位になりやすく、心身が緊張状態にあります。そんな時に花を見ると視覚や嗅覚から得られる情報によって、副交感神経が働きやすくなるのです。

  • 視覚による効果

自然界に多い淡い色やグリーンなどの柔らかな色合いは、脳に安心感を与えると言われています。反対に赤やオレンジなどの鮮やかな色は、気持ちを前向きにしてくれたり活力を与えてくれる色です。また、花びらの丸みや曲線は、警戒心や緊張感を和らげて、気持ちを落ち着かせてくれる効果があります。

花を見てホッとすると感じるのは、自律神経が整えられ身体が休息モードに入りやすくなるからなのです。

  • 嗅覚による効果

香りの情報というのは、脳の中で感情や記憶を司る場所に直接届くので、考えて理解するよりも前に感情に働きかけます。ラベンダーの香りを嗅ぐと眠気を誘われたり、バラの香りによって幸福感を感じたりするのはその働きがあるからです。また花の香りには、ストレスを感じると分泌されるコルチゾールの分泌を穏やかにする効果があることもわかっています。

気になる花は隠れた感情を映し出す

わたしたちは花を選ぶとき、無意識に導かれていることがあります。心理学には「投影」という考え方があります。これは自分の内側にある感情や欲求を、外側のものに映し出す働きのことです。花を選ぶときにも、この投影があらわれることがあります。

たとえば赤い花に惹かれるときは、疲れが溜まっていて、無意識にエネルギーや活力を求めているのかもしれません。白い花が気になるときは、心を整理したい、リセットしたいと感じているかもしれません。黄色い花ならば明るさ、人との交流を求めているかもしれません。

「好きな花」とは別に、その時々で「なぜか惹かれる花」があるのは、そのような内側にある感情が映し出されているからかもしれません。「今どんな花が気になるのか」を意識して花を選んでみることで、自分でも気づいていなかった今の心理状態に気づくきっかけになることがあります。

花を飾るのは心身を整える行動

花の効果は五感から得られるものだけではありません。花を選び、そして飾るという行為そのものにも心を整える効果があります。花を飾ると不思議とその空間を整えたくなりますよね。周囲を片付けて、花の美しさがより一層映えるようにしたり、花を長く楽しめるように水を替えたり気を配るようになります。そんな行動の積み重ねが、生活リズムを整えるきっかけになるのです。

暮らしの空間に気を配り生活リズムを整えるという行動を取ることで、小さな満足感や達成感が得られます。心理学的な視点で考えると、こういった積み重ねはセルフケアになり、自己肯定感につながると言われています。

豪華なアレンジメントである必要はありません。キッチンに季節の花を一輪飾ってみるだけでも、空気が変わります。花を飾るという行為は「自分の心を大切にしよう」とすることに繋がっているのです。

まとめ

花と心理学を組み合わせて考えてみると、花がわたしたちの心身の健康に良い理由がよく見えてきます。現代に生きるわたしたちは、常に多くの情報に囲まれています。頭は休みなく働き続けている一方で、自分自身の気持ちを見つめ直したり大切にする時間を持つことができず、感情を置き去りにしていることもあるかもしれません。

花を見ることは自律神経を整え、香りは感情に働きかけてくれます。そしてどんな花に惹かれているのかを感じ、それを選択することで、今の心の状態が映し出されることもあります。花を見て、綺麗だなと感じるとき、なんだか気になるなと感じるとき、その小さな感情の動きが、緊張状態にあった心に安らぎを与え、自分自身でも意識していなかった感情に気づかせてくれることがあるのです。

花を飾り、その手入れをするという行動そのものが、セルフケアにつながり自分自身を大切にすることになります。疲れた心身を無理に奮い立たせるのではなく、忙しくて余裕がないなと感じるときほど、一度立ち止まってみて「気になる花」を選んでみませんか。花の存在が、今のわたしたちの心に必要なものをそっと教えてくれるかもしれません。