アジサイの切り花を長持ちさせる方法

梅雨の季節、色鮮やかな花でわたしたちの目を楽しませてくれるアジサイの花は、日本の風景に深く結びついた花ですね。しとしとと降り続く雨に濡れて咲くアジサイは、紫や青、ピンク、白などの花で憂鬱になりがちな雨の日の気持ちも晴れやかにしてくれます。

そんなアジサイを、切り花として日常に取り入れてみませんか。一輪生けるだけで、室内の空間がしっとりと美しくなります。

魅力的なアジサイの切り花を暮らしに取り入れる方法や、長く楽しむためのコツについてご紹介します。

アジサイの魅力

アジサイにはさまざまな品種があり、花の色も青や紫、ピンク、白、緑など多彩です。実はアジサイの花の色は土壌のpH値によって決まると言われており、日本の土壌は弱酸性が多いことから青〜紫色のアジサイが多くなっています。

近年よく目にする緑がかったアジサイは、西洋アジサイやアメリカアジサイとも言われ、色の主張が強すぎないため、他の花とも合わせやすく切り花や花束として使いやすい品種として人気です。

アジサイの花は一輪でもボリュームと華やかさがあるため、切り花として取り入れても存在感があります。涼やかで上品な印象もあるため、日常生活に取り入れやすい切り花と言えるでしょう。

暮らしの中で楽しむアジサイの切り花

アジサイは和洋どちらの空間にも映え、玄関やリビング、さまざまな場所に馴染みやすく、さりげなく季節感を演出してくれます。気持ちをぐっと押し上げてくれる効果もあり、涼やかな色合いは気持ちを落ち着かせて軽くしてくれます。また、アジサイは他の花やグリーンとの相性も良好です。ドウダンツツジの枝ものと合わせて高さを出したり、ミントやローズマリーなど香りのあるハーブと組み合わせれば、見た目と香りの両方をより一層楽しめますよ。

雨の日が続いて気分が沈みがちな季節だからこそ、アジサイの持つ癒しの力はありがたい存在。特に青や紫の涼やかな色合いには鎮静効果があり、心を落ち着かせたいときにおすすめ。ピンク系は温かみがあり、人とのつながりを大切にしたい空間に合います。

アジサイを長持ちさせるコツ

アジサイの切り花は、水揚げが少し難しい花として知られています。けれど、ちょっとした工夫で日持ちをぐっと伸ばすことができます。

まず、切り口の処理が大切です。アジサイの茎は中が空洞で水が上がりにくいため、切り口を斜めに切ったうえで綿状の繊維を取り除く必要があります。これだけで水が上がりイキイキと咲いてくれます。もし、この方法でうまく水が上がらない場合は「湯揚げ」や「焼き処理」を行うのが効果的です。

  • 湯揚げ:茎の先を熱湯に10〜20秒ほど浸し、その後すぐに冷水につける。空気の通り道をふさぐことで水の通りがよくなります。
  • 焼き処理:茎の切り口をライターやコンロで軽く炙る方法。特に水が上がりにくいときに試してみてください。

また、水は毎日取り替えましょう。花瓶も清潔に保つことがポイントです。アジサイは冷涼な環境を好むため、直射日光の当たらない涼しい場所に置くと長持ちします。

花首がぐったりしてきても、あきらめないで。新聞紙で花全体をやさしく包み、茎を長めにカットして深水につけておくと、回復することもあります。氷水を使うとより効果的です。

さらに、日持ちの良い品種を選ぶのもひとつの方法。白く小ぶりな花が特徴の「アナベル」などは、比較的長く楽しめることで知られています。

アジサイが人に与える心理

アジサイは、変化する花色や咲き方から「移ろい」「感情の変化」などを象徴する花でもあります。見る人の心にそっと寄り添うような存在感を持ち、気持ちの揺れやすい時期にそっと寄り添ってくれる花ともいえるでしょう。

フラワーセラピーの視点から見ると、青や紫のアジサイは心を鎮め、落ち着いた感情を育てるサポートをしてくれます。反対に、ピンク系のアジサイは大らかさと慈愛を引き出してくれます。

花でつくる心の余裕

花を飾るという行為自体にも、自分の心と向き合い、整える力があります。水を替えたり、しおれた花を取り除いたりするひとときが、日々の忙しさの中にある小さな“心の余白”となります。花は、見た目の美しさだけでなく、心を癒し、暮らしに静かな潤いをもたらしてくれる存在です。ちょっとした工夫で長く楽しむことができ、日々の生活に季節のリズムを取り戻す助けにもなります。

季節の花を暮らしに取り入れることは、自分自身を大切にすることにもつながります。雨の日も、晴れの日も、アジサイがそっとそばにあることで、心がふっと軽くなる。そんな日常を楽しんでみませんか?